交通費をケチって5時間歩いたら足が壊死した話
私が花も恥じらう女子高生だった頃
友達と街まで買い物に行き、マクドナルドでくだらない話をした帰り道のことだった。
『ねえ かこちゃん今日時間ある?』
『うん、あるよ。』
『お金もったいないからさ、歩いて帰らない?家まで』
『うける。いいよ。』
物事を考えることが少しだけ苦手だった私達は、電車で数十分かかる距離をなぜか徒歩で帰る決意をした。
女子高生という生き物は本当の意味で最強だと思う。
当時自分の気力や体力は無限だと思っていたし、その気になれば不可能なことはないと思っていたし
きっと本気を出せば野生の熊とかにも勝てると思っていた。
真冬に生足で外を歩くという、今では考えられない行為も
『冬なんだから寒いとか ぁたりまぇぢゃん?』
とかよく分からないことを言っていたし
化粧に目覚めて大人びたかと思えば
突然廊下で怪我人が出るほどのスケールで
大根抜きを始めたりしていたので、本当に何も怖いものはなかった。
その時も、正直最初は楽しかった。
話しても話しても話題は尽きなかったし、歩いて帰るとかちょーウケる、後でmixiに書こう、とか考えていた。
ところが2時間を過ぎたあたりから雲行きが怪しくなる。さすがに話題はもう尽きたし何より疲労がすごい。
あ、これやっちゃったやつかなと思ったけど言ったら負けだと思ったので口には出さなかった。
4時間経つともう足が壊死する寸前だった。
私の体力が尽きるのが先か、靴底が無くなるのが先か などと偏差値の低そうなことを考えていた。
後で聞いたところ友達は三浦春●のことを考えて自我を保っていたらしい。
なぜ途中で電車に乗らなかったかというと、
嘘みたいな話だけど
使ったことのない駅から電車に乗るのが不安だから
だった。
物事を考えることが苦手にも程がある。
若さってすごい。そして怖い。
ウォーキングデッ●のエキストラ顔負けの歩行状態で家に着き、
靴を脱いだ瞬間、地面が柔らかかった。
数時間スキーを滑った後、スキー靴を脱いだ時以外でこの感覚を味わえるとは。
先日久しぶりこの友達と会い、当時のことを話した。
本当に馬鹿だったよねー。
ところでかこちゃんクロスバイク持ってたよね?ツーリングがてら温泉行かない?
結構遠いけど。
うける。いいよ。
人は変わらないなと思った。